細田守 心をつかむ魔法の表現方法とは?
世界一受けたい授業で特集されていました。
カンヌ映画祭で世界中から大絶賛された、細田守監督の未来のミライ。
見るものを心をガッチリつかむ極意はどこにあるんでしょうか?
大ヒットした以下の5作品について、表現方法を分析。
- 時をかける少女
- サマーウォーズ
- おおかみこどもの雨と雪
- バケモノの子
- 未来のミライ
実は、こんな工夫がされています。
詳細は以下をお読み下さい。
入道雲
もこもこと膨れ上がる入道雲が、5作品全てに共通して出てきます。
「夏だから」と言うわけではなく…
主人公の成長を象徴しているのだとか。
「時をかける少女」のラストシーンで、真琴が「変わった」ことを表現するために背景に使われていました。
「私もさ、実はこれからやること決まったんだ」
「へぇー、なに?」
「ひ・み・つ」
「なんだよそれ」
そこで、巨大に天に伸びる入道雲がどぉーん。
人物の影
一般アニメでは、立体感を出すために人物の顔や首に描かれる影。
5作品ではこれが描かれていません。
日本伝統の浮世絵や絵巻を見て「影がないのに、絵が生き生きしている。こんな素晴らしい文化があるのに、なぜ影をつける必要があるんだ」と気づいた細田守監督は、人物の影を入れるのをやめたそう。
これによって、影を描き入れるための製作時間を、動きや背景のために使うことができるようになり、作品のクォリティが上がったのだとか。
「影を描くのは常識」「常識を疑うところから新しい表現を獲得したい」という気持ちの現れでもあるのだとか。
この話のときに、有田さんがもらっていた、サマーウォーズのイラスト。
「影つけてください」とお願いして笑いが起きていました。そして「影つけちゃいましょう」と書き込む細田守監督。
実在する場所・看板
より作品に入り込んでもらうため、リアリティを高めたい。そのため、特に背景に力を入れているのだとか。
「時をかける少女」
真琴の帰り道に登場する二股の道路
→都電荒川線面影線近くにある分かれ道
真琴のおばが働いている東京国立博物館
→実際の博物館を忠実に再現
「バケモノの子」
渋谷のスクランブル交差点を完全再現。
背景を担当するスタッフと渋谷を何度も取材し、実在する建物、看板、壁の落書きなどを再現。
この話のときに、ギャル曽根さんがもらっていた「バケモノの子」のイラスト。
キャラクターの衣装をスタイリストが作る
実際にキャラクターが着る衣装を作っています。
スタッフが着てスケッチすることも多く、それにより自然でリアルな動きが作れるのだとか。
「おおかみこどもの風と雪」の雪のワンピース
「バケモノの子」の熊徹の衣装
実物の音を使う
「バケモノの子」で、スイカを食べまくるシーンでは、実際にスタッフがスイカにむしゃぶりつくように食べ音を録ったのだとか。
食べたスイカは、まるまる一玉。
これにより、リアリティが増しました。
他にも、ラケット、釣り竿、刃物、日本刀などが使われています。
刀のさやとさやがぶつかって、さやが砕ける音にはカニをバキバキと割る音が使われています。
このコーナーでは、上田さんが「おおかみこどもの風と雪」のイラストをもらっていました。
テーマが「家族」
テーマ自体が、細田守監督の実体験に基づいているのだとか。
「妻の実家に行った時、大勢の親戚に囲まれた経験」
→サマーウォーズ
「実の母をなくした経験」
→おおかみこどもの雨と雪。雪が精一杯の感謝を伝えるシーン。
「生まれた子供に、親以外にもいろいろな人間に影響を受けて生きて欲しい」
→バケモノの子
「5歳の長男が、夢で大きくなった妹に会ったと言ってきた」
→未来のミライ
だからこそ、リアリティのある驚きや感動が感じられるのかも知れませんね。